生産技術 PRODUCTION TECHNOLOGY

事例③ 水素添加反応

水素添加反応は、金属触媒存在下、水素ガス雰囲気にて行われています。金属触媒は高価であることから、その回収・再利用のために不均一固体触媒が用いられることが多く、反応場は気-液-固の三相状態となります。ここでコンパクトフローの高い混合機能を活用することにより、物質移動律速が解消され、迅速な反応を行うことができると考えられています(図1)。

図1 コンパクトフロー×水添反応の装置一例

その不均一固体触媒として、粒径100~500μmの球状触媒が着目されており、従来の粉末状触媒と遜色ない反応効率を有する一方で、フローで課題となる圧力損失は低いという特徴を有しています。
実際に、カラムリアクターに粒径の異なるガラスビーズを充填し、メタノールを10mL/minで通液した際の圧力損失データをとったところ、100μm以上のガラスビーズでは粒子由来の圧力損失はほとんど観測されませんでした(グラフ1)。

グラフ1 ガラスビーズの粒径とメタノールの圧力損失の関係

新しい不均一系機能性触媒の開発

図2 ChemCatChem誌の
CoverPicture

岐阜薬科大学 薬品化学研究室(佐治木 弘尚教授)との共同研究でセルロース担体触媒を開発しました。
JNCのクロマトグラフィー充填剤として展開しているセルロース粒子製品を触媒担体として活用し、類似の球状触媒と同程度の触媒活性があることを確認しています。

本検討結果の一部は、論文ChemCatChem 誌に掲載され、CoverPicture にも選出されました(図2)。

また、セルロースはカーボンニュートラルな素材であることから、環境に調和したフロー用触媒としても注目が集まっています。