本日4月1日、入社式が執り行われ、社長 山田敬三が祝辞を述べました。その内容を発表します。
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皆さん、JNCグループへの入社、おめでとうございます。
今年もこうして新しい仲間を無事に迎え入れることができたことを嬉しく思うと共に、皆さんにとって一生に一度となる門出の日に私たちも同席できたことを心から感謝しています。
この約1年間は全世界が新型コロナウイルスによって混乱に巻き込まれ、皆さんも当たり前と思っていた授業や講義の様相が一変し、本当に悩ましく不安な1年間であったと思います。しかし、そんな中にあっても様々な工夫を凝らして、先輩たちとは違った生活を送ってきたのではないかと想像しています。
もしそうならば、皆さんは常識に慣らされて卒業してきた今までの先輩たちとは明らかに違う最終学年を過ごしたことで、社会人として活躍する為の準備がある程度できたかもしれないと期待しています。
今回の貴重な経験は、将来、必ず役に立つと思います。本日のこの入社式から皆さんの社会人としての大事な一歩を力強く踏み出してくれることを期待しています。
当社は今年、設立10周年を迎えましたが、創業は115年前、1906年の曾木電気株式会社、そして、それに続く日本窒素肥料株式会社に遡ります。再生可能エネルギーである水力発電事業を起こし、その電力を用いて国産肥料の生産を始めたのが化学メーカーとしての起源です。創業から今日まで、一貫して未来の社会ニーズを予見しながら、数々の先端化学製品を開発し、世に送り出してきました。
その歴史は順風の時ばかりではなく、幾多の困難な時代もありましたが、どんなときも会社の行く末を社員自らが切り開いてきました。
顧みれば、当社の歴史は社員の成長と会社の発展とが同時に進行しており、この先の皆さんの成長が今後の会社の進化につながります。もちろん、私たちも皆さんが成長できるよう環境を整えていきますので、是非とも将来のJNCグループを力強く牽引できる存在になってもらいたいと思います。
現在の世界情勢は二大大国であるアメリカと中国の覇権争いが激しさを増しています。また、世界のいくつかの地域では地政学的な衝突のリスクが燻ぶっており、エネルギーや経済を結ぶサプライチェーンの安定化には、いくつかのシナリオを準備して柔軟に対応していく必要があります。
さらに、新型コロナウイルスについては、新たに出現した複数の変異株への治療薬の開発が待たれますが、ワクチンに関しては、ようやく接種が始まり、鎮静化への道筋が見え始めてきました。
産業界においては、デジタルトランスフォーメーション(DX)の導入とその活用によって衰退する企業と進化する企業に2極化するという新たな産業秩序ができつつあります。また、カーボンニュートラルに象徴される環境問題を背景にして望ましい未来に貢献できる企業とそうでない企業との選別が始まろうとしています。
JNCグループでは、このような事業環境の変化を見据えて、各事業のリフォームに取り組み、強みを最大化できるよう検討を進めています。
新型コロナウイルスについては複数のワクチンや治療薬候補が知られていますが、それらの中には、水俣製造所で生産されたクロマト材料や中間原料を使っているものがあります。例えばアビガンについては、昨年、国産チームの一翼を担い、緊急生産を行いました。この慌ただしい生産を無事に完了した事に対して昨年12月に経済産業大臣から感謝状を頂戴しています。
DXの導入については、年内に本格的な強化を進めていく予定です。研究開発部門における分子設計などのデジタル支援については10年以上前から取り組んでいますので、すでにかなりのレベルに達していると自負しています。
JNCグループの各支援機能も進化していますので、皆さんも、配属される各職場で既存の枠組みに捉われることなく自由闊達に意見を交換して、新たな構想を描き、それを実行に繋げていくことで、当社の競争力を高めると同時に自らの成長を促してください。
仕事を進める中では、それぞれの価値観や判断基準が異なり、意見が食い違うこともあるでしょう。そんな時は粘り強く意見の交換を重ねて下さい。そして、ひとたび結論が出たら、全員が一丸となって目標に向かって邁進し、必ず目標を達成していくこと。そういった当たり前のプロセスを数多く経験することが、皆さんの成長に繋がると確信しています。
さらに経験を重ねて成長していくと、どこかで「ここ一番」という時がやって来ます。いくら論理的なことや、どれだけ正しいことを言ったところで、最後は皆さん一人一人の信用や信頼が全てを決めてしまいます。
このことをしっかり自覚して、日々、研鑽を積みながら会社生活を送ってください。
新型コロナウイルスによって長期間、私たちは制限された生活を余儀なくされましたが、今まで当たり前だと思っていたことが実はそうではなく、皆さんの学生生活が周囲の方々の協力や支援があって初めてつつがなく過ごせていたことを痛感したのではないでしょうか。
今日まで皆さんを支えてくれたすべての人たちに感謝する気持ちを大事にしてほしいと思います。そして、その方たちと同様に本日よりお世話になる人たちへも感謝の気持ちを持って指導を仰いでもらいたいと思っています。
最後になりましたが、本日、ここに集まっている同期の仲間は皆さんにとって特別な存在になります。これからも全員で協力し合い、励まし合いながら一緒に成長していく仲間です。この仲間と切磋琢磨すると共に、社内外の方々とも交流を深めてJNCグループの発展に貢献し、尊敬される人財になってくれることを心からお願いして祝辞といたします。
皆さん、本日はJNCグループへの入社、本当におめでとうございました。
以上
