関西学院大学の 畠山 琢次 教授とJNC株式会社の子会社であるJNC石油化学株式会社の共同研究チームは、量子ドットやLEDを超える色純度を持つ有機ELディスプレイ用青色発光材料の開発に成功しました。
有機EL(OLED)ディスプレイは、液晶ディスプレイに代わるフラットパネルディスプレイとして実用化が進んでいます。しかし、有機系発光材料は、発光の色純度が低い(発光スペクトル幅が広い)という欠点があります。色純度が低いと、ディスプレイに使用する際に、光学フィルターにより発光スペクトルから不必要な色を除去して色純度を向上させる必要があり、結果としてディスプレイの輝度や電力効率が大きく低下してしまいます。また、フィルターによる色純度の向上には限界があるため、ディスプレイの広色域化が難しいという問題もあり、色純度が高い発光材料の開発が望まれていました。
畠山教授らは、発光分子の適切な位置に2つのホウ素と4つの窒素を導入し、共鳴効果を重ね合わせることで、発光スペクトルの広幅化の原因である伸縮振動の抑制に成功し、窒化ガリウム系LEDやカドミウム系量子ドットを超える色純度を持つ有機系青色発光材料(ν-DABNA)の開発に成功しました。
同研究チームは、2016年にν-DABNAのプロトタイプとしてDABNAの開発に成功しており、ハイエンドスマートフォンの有機ELディスプレイに実用されています。今回開発したν-DABNAは、DABNAを大きく上回る色純度と発光効率を示しており、有機ELディスプレイの高色域化、高輝度化、低消費電力化、ブルーライトの低減などが期待できます。
本研究成果は、2019年7月15日(英国時間)に英国科学誌「Nature Photonics」のオンライン速報版で公開されます。
・英国科学誌「Nature Photonics」オンライン速報版
https://www.nature.com/articles/s41566-019-0476-5
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