アフィニティクロマトグラフィー充填剤

セルファインTMフォスフェイト

mRNA薬の合成酵素となるT7 RNAポリメラーゼなど核酸結合タンパク質の精製に

セルファイン フォスフェイトは酵素や、核酸結合性タンパク質にアフィニティ活性のあるクロマトグラフィー充填剤です。 真球状の機械的強度の高いセルロース粒子にリン酸エステル基を固定化しています。 mRNA薬の合成酵素となるT7 RNAポリメラーゼは核酸結合タンパク質のためセルファイン フォスフェイトで効率的な精製を行うことができます。

セルファイン フォスフェイトのリガンド構造
Figure1 セルファイン フォスフェイトの化学構造
特徴
ベース担体 Cellulose
リガンド リン酸エステル基
リガンド濃度 0.3 - 0.8meq/ml
タンパク質吸着量 ≧ 20mg/ml-gel (リゾチーム)

T7 RNAポリメラーゼの精製事例Purification of T7 RNA polymerase

T7 RNAポリメラーゼはインビトロ転写合成において、鋳型DNAからmRNAを合成するために使用される極めて重要なRNA合成酵素です。 この事例では最初にセルファインMAX DEAEによる粗精製を行った後に、セルファイン フォスフェイトによるアフィニティー精製を行う2段階のクロマトグラフィー工程で、 高純度なT7 RNAポリメラーゼを精製しました。

T7 RNAポリメラーゼ精製のクロマトグラム
Figure 2 セルファイン フォスフェイトによるT7 RNAポリメラーゼの精製

セルファインMAX DEAEで精製した後、セルファインフォスフェイトで精製しています。赤色で表示されたEL2フラクションにT7 RNAポリメラーゼが蓄積されています。

Table 2 カラム後の各分画におけるT7 RNAポリメラーゼの回収率
フラクション 酵素活性
(Unit/protein)
酵素活性回収率
(%)
タンパク質回収率
(%)
ロードサンプル 94043 100 100
素通り画分 2763 1.8 59.8
溶出画分 267034 70.2 24.7

セルファイン フォスフェイトによるカラム精製後(Figure 1)の酵素活性率とタンパク質回収率をTable 1に示します。 溶出画分におけるT7 RNAポリメラーゼの活性は70.2%と高い回収率となりました。タンパク質量は24.7%まで減少したことから夾雑物が効率的に除去されていることが分かります。


セルファイン フォスフェイト精製後のSDS-PAGE
Figure 3 セルファイン フォスフェイト精製後のSDS-PAGE

1: ライセート、2: 硫安沈殿、3: セルファインMAX DEAE溶出画分、4: セルファイン フォスフェイト溶出画分、5: 市販コントロール

セルファインMAX DEAEおよびセルファインフォスフェイトの各精製プロセスから得られたフラクションを用いてSDS-PAGEで精製度を評価しました。 クロマトグラフィーの各工程によって夾雑物が除かれ、セルファイン フォスフェイトの段階では、ほぼシングルバンドになるまでT7 RNAポリメラーゼを精製できます

セルファイン フォスフェイトの細孔特性

Cellfine Phosphate Pore size characteristics
Figure 2Calibration carves of Cellufine Phosphate and a conventional Cellulose phosphate.

定置洗浄(CIP)安定性C.I.P. Stability test

セルファイン フォスフェイトは0.2M NaOH水溶液に安定で繰り返し使用が可能です。

セルファイン フォスフェイトの繰り返し使用試験データ、0.2 M NaOHで定置洗浄試験
Figure3CIP condition : 0.2mol/L NaOH 3CV 0.05M phosphate buffer, pH7 5CV (repeat)
セルファイン フォスフェイトによるDNA結合タンパク質RusA D70N の精製データ
Figure4Use of Cellufine Phosphate in Rus A D70N purification

操作条件

カラム
1.6x10cm (20ml)
流速
3ml/min( 90cm/h )
サンプル
7.5mg RusA D70N (ヘパリン固定化担体精製後のサンプル)
グラジエント
200ml、 0.1M→1.3M NaCl in 50mM tris-HCl pH 8.0

SDS-PAGE

Gel
Novex 4-12%BT gel used with MES-SDS running buffer (Invitrogen)
レーン情報
1 細胞除去後の抽出物
2 ヘパリン固定化担体への未吸着フラクション
3 ヘパリン固定化担体吸着フラクションRusA
4-6 セルファイン ホスフェイト吸着後の溶出フラクション
7 RusA 純品サンプル
8 マーカー 12 MW standard (Invitrogen)

参考文献
Nucleic Acids Research, 2006, Vol. 00, No. 00 1–8
Rachel Macmaster, Svetlana Sedelnikova, Patrick J. Baker, Edward L. Bolt1,Robert G. Lloyd1 and John B. Rafferty
RusA Holliday junction resolvase: DNA complexstructure—insights into selectivity and specificity
This data was carried by courtesy of Dr. Svetlana Sedelnikovaof the Sheffield university.

タンパク質の分離特性

セルファイン フォスフェイトは塩濃度を変化させることでタンパク質の分離が可能です。陽イオン交換体のような挙動を示しますが、一般的な陽イオン交換体よりも高塩濃度で溶出する傾向があります。

セルファイン フォスフェイトでのタンパク質の分離パターン
Figure5Separation of mixed sample
カラム
ID 1.1 cm – H 10 cm
流速
2 ml/min (126cm/h)
平衡化バッファー
0.01M acetate buffer, pH4.8
溶出バッファー
0 → 1 mol/L NaCl グラジエント

カスタマイズ・特注品の開発も
可能です。

お客様のご要望に応じたグレードの開発も承りますのでご相談ください。

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