イオン交換クロマトグラフィー

セルファインMAX GS新製品

抗体医薬製品向けなどにリガンド密度を最適化した強陽イオン交換体

セルファイン MAX S-r,S-h

スルホン酸基を導入した、強陽イオン交換体

セルファイン MAX Q-r,Q-h

4級アンモニウム基を導入した、強陰イオン交換体

セルファインMAX CM

カルボキシメチル基を導入した弱陽イオン交換体

セルファインMAX DEAE

ジエチルアミノエチル基を導入した弱陰イオン交換体

 セルファインMAXシリーズはより高流速での使用が可能となるセルファインの第2世代型のクロマトグラフィー担体です。セルファインMAXイオン交換体は更に表面修飾技術を活用することで、高流速で使用可能な上、高い動的吸着性能を備えています。高性能なクロマトグラフィー担体として使用でき、ダウンストリームの工程処理能力を高めることが期待できます。
 セルファインMAXイオン交換体には、強陽イオン交換(S, GS)、強陰イオン交換(Q)、弱陽イオン交換(CM)、弱陰イオン交換(DEAE)の4つのタイプがあります。

セルファインMAX のベース担体Cellufine MAX Base Resin

セルロースは自然界に存在する多糖類であり、アガロースなどの非結晶性を示す多糖類とは異なる結晶性の分子構造を有しています。セルロースを原料とするセルファインはFig 1に示したような独特のポア構造をを有します。さらにセルファインMAXシリーズはセルファインの従来品に比べより大きなポアサイズを有します。このことは、Fig.2の巨大分子であるチログロブリンを用いたブレイクスルーカーブの比較図からもわかるように、セルファインMAXイオン交換体では、大きな分子量のタンパク質も担体のポア内部を効率的に移動できます。

セルファインMAXイオン交換担体の電子顕微鏡写真
図1セルファイン MAX 樹脂のSEM写真
セルファイン DEAE 担体のチログロブリンの破過曲線の比較データ
Fig 2セルファイン DEAE タイプのチログロブリンのブレイクスルーカーブの比較

セルファイン MAX イオン交換体の構造Partial Structure of Cellufine MAX IEX Media

セルファイン MAXのイオン交換体各グレードのリガンドの構造をFig.3に示します。イオン交換クロマトの4種すべてのモードに適応するグレードが用意されています(強陽イオン交換=S、強陰イオン交換=Q、弱陽イオン交換=CM、弱陰イオン交換=DEAE)。Cellufine MAX S と Q には、それぞれhタイプとrタイプの2グレードがあります。hタイプは高吸着容量、rタイプは高分離能を目指して設計されています。

セルファインMAXイオン交換担体のリガンド構造、CMタイプ、Sタイプ、Qタイプ、DEAEタイプ
Fig 3Cellufine MAX イオン交換体各グレードのリガンド構造

セルファイン MAX イオン交換体の特長Characteristics of Cellufine MAX IEX Media

セルファイン MAXイオン交換体の特性はTable 1の通りです。平均粒子径は約90 μmで、セルファインMAXシリーズ用に新たに開発された高度に架橋されたセルロース粒子をベース担体に用いています。さらに、高吸着化のために粒子表面はデキストランで修飾されています。いずれのグレードもバイオ医薬品の製造プロセスに最適化する設計となっています。

Type MAX CM MAX S-r MAX S-h MAX DEAE MAX Q-r MAX Q-h
基材 表面にデキストランを修飾した架橋セルロース粒子
粒子サイズ(μm) 40 - 130
官能基 CM S S DEAE Q Q
イオン交換容量(meq / ml-gel) 0.09 - 0.22 0.09 - 0.21 0.10 - 0.22 0.12 - 0.22 0.10 - 0.20 0.13 - 0.22
10% DBC(mg/ml) リゾチーム 220 144 191
ウシ血清アルブミン 197 141 225
ヒト-γ-グロブリン 104 131 216 108 74 135
pH 安定性 2 -13 2 -13 3 -14 2 -12 2 -12 2 -12
保存剤 20% Ethanol

セルファイン MAX イオン交換体の流速に対する耐圧性Pressure-flow Properties of Cellufine MAX IEX Media

セルファイン MAXは バイオプロセスの効率稼動のために高流速で使用可能です。Fig.4では、パイロットスケールでのカラム(内径30 cm カラムでベッド高20cm)における線速と圧力の関係を示しています。すべてのグレードは線速500 cm/hにおいて十分な耐圧性を有しています。

セルファインMAXイオン交換担体の流速特性データ、内径30cmの大型カラムのデータ
図 4セルファイン MAX各グレードの線速と圧力の関係
カラム
内径30 cm x 高さ20 cm
移動相
純水(20 ºC)

セルファイン MAX イオン交換体の動的吸着容量Dynamic Binding Capacities of Cellufine MAX IEX Mediae

セルファイン MAXイオン交換体の特長の一つとして、目的物の効率的な物質移動特性があげられます。この特性のため、短い保持時間でも高い動的吸着容量(DBC)が得られます。Fig. 5 から7 において、各グレードのモデルタンパクのDBCと保持時間の影響を示しています。すべてのグレードが短い保持時間でも十分な吸着量を有していることが確認できまます。また、Fig. 8では、セルファイン MAX S と他社製品との吸着容量の比較を示しています。いくつかのタンパク質すべてにおいてセルファイン MAX Sが優れた吸着能を有していることが確認できます。

セルファインMAX Sのタンパク質吸着量データ
図 5セルファインMAX Sの動的吸着量(滞留時間を変化)
カラム
内径5 mm × 高さ100 mm
サンプル
ヒトポリクロ―ナルIgG(1 mg/ml)
吸着バッファー
10 mM Acetate-50 mM NaCl(pH 4.3)
セルファインMAX Qのタンパク質吸着量データ
図 6セルファイン MAX Qの動的吸着量(滞留時間を変化)
カラム
5 mm ID×100 mm L
サンプル
ウシ血清アルブミン(1 mg/ml)
吸着バッファー
50 mM Tris-HCl(pH 8.5)
セルファインMAX CM、セルファインMAX DEAEのタンパク質吸着量データ
図 7セルファインMAX CMおよびMAX DEAEの動的吸着量(滞留時間を変化)
カラム
内径5 mm x 高さ50 mm
サンプル
MAX CM ヒトポリクロ―ナルIgG(1 mg/ml)
MAX DEAE ウシ血清アルブミン(1 mg/ml)
吸着バッファー
MAX CM 10 mM Acetate(pH 5.6)
MAX DEAE Tris-HCl(pH 8.5)for BSA
セルファインMAX Sのタンパク質吸着量データ
図 8セルファインMAX Sと市販アガロース担体の動的吸着量比較
流速
滞留時間 1 min
ポリクロ―ナルIgG
10 mM Acetate(pH 4.3)- 50 mM NaCl
ウシ血清アルブミン
10 mM Acetate(pH 4.3)- 50 mM NaCl
リゾチーム:Tris-HCl(pH 9.5)

Cellufine MAX イオン交換体のモデルタンパクの分離能Model Proteins Separation Performance for Cellufine MAX IEX Media

Cellufine MAX イオン交換体の各グレードによるモデルタンパクの分離例をFig. 9 と 10に示します。それぞれのグレードの高い吸着能かつ高い分離能が確認できます。

セルファインMAX陽イオン交換担体のモデルタンパクの分離パターン比較
図 9セルファイン MAX S-h と MAX CMのモデルタンパクの分離
カラム
内径6.6 mm ×高さ50 mm
バッファー A
10 mM リン酸バッファー(pH 7)
バッファー B
110 mM リン酸バッファー(pH 7)+ 1 M NaCl
(0→50 % リニアグラジエント)
流速
0.86 ml/min (滞留時間:2min)
タンパク質
リボヌクレアーゼ A(5 mg/ml),
チトクロム C(2.5 mg/ml),
リゾチーム(1.5 mg/ml)
インジェクション量
1.5ml
セルファインMAX陰イオン交換担体のモデルタンパクの分離パターン比較
図 10セルファイン MAX Q-h と MAX DEAEのモデルタンパクの分離
カラム
6.6 mm ID×50 mm L
バッファー A
50 mM Tris-HCl(pH 8.5)
バッファー B
50 mM Tris-HCl(pH 8.5), 1 M NaCl
(0→75 % リニアグラジエント)
流速
0.86 ml/min (滞留時間 2 min)
タンパク質
トランスフェリン(5 mg/ml),
ウシ血清アルブミン(10 mg/ml),
ペプシン(5 mg/ml)
インジェクション量
1.5ml

化学的安定性と定置洗浄Chemical Stability and Cleaning-In-Place

セルロースは、化学的および物理的に安定な物質です。セルロースを基材とするCellufineは酸、アルカリにも耐久性が高く0.5 M NaOH溶液でのCIPが可能です。使用後のレジンは適切な洗浄をおこなった後、20 % エタノール溶液にて常温(25ºC以下)で保管ください。

セルファインMAX GS はリガンド濃度を最適化させた新しい強陽イオン交換クロマトグラフィー充填剤です。モノクローナル抗体から凝集体を除去することに優れたパフォーマンスを発揮します。

セルファインMAX GSの特徴Characteristics of Cellufine MAX GS Media

セルファインMAX GSの基本的な特徴を表に示します。高度に架橋されたセルロース粒子(平均粒径90 um)をベース担体としています。

ベース担体 高度架橋セルロース粒子
粒径 40~130 μm
リガンド -R-SO3-Na+
イオン交換容量 (m mol / ml) 0.09〜0.15
リゾチーム吸着量 (mg / ml) ≧ 100
ポリクロ―ナルIgG 動的吸着量10%ブレークスルー時 (mg / ml) ≧ 70
操作圧力 < 0.3 MPa
pH安定性 pH 2 ~ 13

セルファインMAX GSの流速特性Pressure-Flow Properties of Cellufine MAX GS

セルファインMAX GSを内径30cm x高さ20cmの容量でカラムに充填し、圧力損失を測定しました(図 1)。産業スケールで使用することができる良好な流速特性を示しています。

セルファインMAX GSの流速特性データ、内径30cmの大型カラムのデータ
図 1
カラム
内径30 cm x 高さ20 cm
移動相
純水 (24℃)

モデルタンパク質の分離性Model Protein Separation Performance for Cellufine MAX GS

セルファインMAX GSはNaCl濃度またはpH条件を変化させることで、抗体の凝集体の除去に優れたパフォーマンスを発揮します。図2では市販の担体とセルファインMAX GSを用いて、抗体のモノマーと凝集体の分離を比較しています。図2aではポリクロ―ナル抗体を、図2bではモノクローナル抗体を用いてNaClのグラジエント溶出によって凝集体の分離特性を評価しました。セルファインMAX GSはモノクローナル抗体から凝集体を効率的に除去することができます。

セルファインMAX GSのポリクロ―ナル抗体と凝集体の分離特性
図 2a
サンプル
酸・熱変性させたポリクロ―ナル IgG
バッファー
酢酸(pH5.0), 50mM →1 M NaCl
インジェクション量
1 ml
ポリクロ―ナルIgG濃度
2 mg/ml
セルファインMAX GSのモノクロ―ナル抗体と二量体の分離データ
図 2b
カラム
内径5 mm × 高さ50 mm
バッファー
クエン酸バッファー (pH 5.0)
NaClグラジエント
0.2→0.5 M
モノクローナル抗体インジェクション量
1 ml
流速
0.66 ml/min

セルファインMAX GSの動的吸着量Dynamic Binding Capacities of Cellufine MAX GS

セルファインMAX GSは細孔内拡散速度が速い担体を使用しているので、優れた動的吸着量(DBC)を示します。図3ではポリクロ―ナルIgGを様々な流速(滞留時間)を変化させた条件で動的吸着量を評価しました。この様な特徴は抗体医薬のダウンストリームプロセスに適した担体と言えます。

セルファインMAX GSのタンパク質吸着量、ポリクロ―ナル抗体の吸着
図 3
条件
カラム
内径5 mm×高さ5 cm
ポリクロ―ナルIgG濃度
1 mg/ml
吸着バッファー
10 mM 酢酸 (pH 5.0) + 50 mM NaCl

カスタマイズ・特注品の開発も
可能です。

お客様のご要望に応じたグレードの開発も承りますのでご相談ください。

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