セルファインTMGH-25
サンプルからの脱塩、アルコール除去、界面活性剤除去に
セルファインGH-25は真球状のセルロース粒子基材とする脱塩カラムです。 排除限界分子量は3kDaのため、タンパク質は細孔内に入らず粒子の外を流れていきます。 一方で塩類や界面活性剤などは分子量が小さく細孔内部に入り、タンパク質よりも遅れてカラムから溶出されていきます。 このためバッファー置換などに好適に使用できます。 機械的強度の高いセルロース粒子を基材としていますので、高流速で操作できます。また大型カラムでの使用も可能です。 これらの特長はプロセス設計においてリードタイムの短縮に寄与します。
特徴Features
- 真球状で機械的強度の高いセルロース粒子です
- 対象サンプルのバッファー置換に最適です
- 多糖類に特徴的な親水性を保持していますので、非特異的吸着が少ない特徴を持ちます
- 膨潤させた状態で提供しているため、膨潤操作は不要です
- pH 1~14で操作可能です(0.1M HCl, 0.5M NaOH)
- 有機溶媒に耐性を持ちます
- オートクレーブでの滅菌が可能です
ベネフィットBenefit
- 高流速で操作できるため、操作時間が短縮できます
- 大容量のサンプルをロードできます 。典型的な操作時間は5~30分です。カラム体積の35%までサンプルをロードできます。
- サンプルの非特的吸着が低く、優れたサンプル回収性能を示します
- 真球状で圧縮性の担体のためパッキングが簡単です
- 簡単な洗浄でエンドトキシンが除去できます
- 一般的な溶媒やバッファー条件で、担体形状が変化せずに使用できます。
- オートクレーブ滅菌が可能です
特徴 | |
---|---|
ベース基材 | セルロース粒子 |
粒径 | ca. 40 – 130 µm |
排除限界分子量 | 3kD |
繰り返し使用性 | 回収率98 % ~100 % 250日間、1000回の繰り返し使用でも性能劣化が見られなかった |
オートクレーブ | 121 °C, 30 min. |
使用圧力 | 流速870 ml/h/cm2 で使用可能 (大型カラム使用時) |
pH安定性 | pH 1 – 14 |
化学安定性 | 界面活性剤や変性剤を含むサンプルでも問題なく使用が可能。0.1M HClや0.1M NaOHに浸漬して30日経過後も劣化は見られなかった。 |
保存液 | 20 % エタノール水溶液 |
流速特性Flow Properties

セルファインGH-25は極めて機械的強度が高い。
市販のデキストラン担体と比較して2倍近い耐圧性が見られた。
セルファインGH-25の分離特性The specific selection curve of Cellufine GH-25

1:エチレングリコール(M.W.62), 2:PEG (M.W.200), 3:PEG (M.W.400), 4:PEG (M.W.600), 5:PEG (M.W.1,000), 6:PEG (M.W.3,000), A:グリシン (M.W.75), B:グリシンx2 (M.W.132), C:グリシン x3 (M.W.189), D:グリシン x4 (M.W.246), E:パントテン酸カルシウム (M.W.477), F:ビタミンB12 (M.W.1,355), G:インスリンβ鎖 (M.W.3,495)
セルファインGH-25の特徴は独特の分離パターンです。 上図の分子量とKavの関係からわかるように、分子量1,000と分子量3,000に対するKavの差が大きくなっています。 このことは、分子量1,000以下の低分子化合物とタンパク質等の高分子化合物の分離に非常に有利であることを示しています。
アプリケーション事例Applications
- サンプルの凍結乾燥や濃縮前の脱塩
- バッファー交換
- アルコールや有機溶媒の除去
- ベクター精製後のフェノールなど有害成分の除去
- タンパク質の可溶化に使用した界面活性剤の除去 (Triton® X-100, SDS)
- カオトロピック試薬の除去(尿素、グアニジン等)
迅速な脱塩性能High Speed Desalting
セルファインGH-25は機械的強度が高いため大型カラムでの使用に最適です。大型カラムで使用できますので優れた脱塩操作を実現できます。
タンパク質からの脱塩Protein Desalting
セルファインGH-25を用いて様々なタンパク質からの脱塩を試みました。タンパク質と塩化ナトリウムの分離は極めてシャープで回収率はほぼ100%となります。

- カラム
- H2.6cm x H60 cm Vt = 318 ml
- 移動相
- 0.05 M ギ酸アンモニウム
- 流速
- 36 ml/hr, 6.8 cm/hr
- サンプル
- (Ⅰ) BSA 30 mg, NaCl 150 (Ⅱ) 300 mg, NaCl 1,500 mg
- ロード量
- (Ⅰ) 2ml (Ⅱ) 8 ml

- カラム
- H1.6cm x H52 cm Vt = 104 ml
- 移動相
- 0.05 M ギ酸アンモニウム
- 流速
- 42 ml/hr, 21 cm/hr
- サンプル
- リゾチーム 30 mg 塩化ナトリウム 150mg
- ロード量
- 2ml

- カラム
- H1.5cm x H49 cm Vt = 86 ml
- 移動相
- 0.05 M ギ酸アンモニウム
- 流速
- 30 ml/hr, 17 cm/hr
- サンプル
- 各種タンパク質 50 mg, NaCl 250mg
- ロード量
- 2ml
アルコールの除去Alcohol Removal
血液中からコーンのエタノール分画法によって回収されたアルブミンからエタノールを除去する。Table 1はセルファインGH-25にサンプルを異なる流速でロードした場合の比較を示している。 流速を変化させたばあでもアルコールの除去性、アルブミンの回収量に変化は見られなかった。 高流速でロードすることでリードタイムの短縮が可能であった。
Run Number | 1 | 2 |
---|---|---|
製品名 | GH-25 | GH-25 |
カラム内径 (mm) | 50 | 50 |
カラム高さ (mm) | 680 | 670 |
カラム体積 (ml) | 1335 | 1320 |
流速 (ml/hr) | 570 | 2010 |
線速 (ml/h/cm²) | 29 | 102 |
サイクル時間 (hr) | 2.3 | 0.6 |
サンプル性状 | ||
ロード量 (ml) | 310 | 310 |
ロード量 (% Vt) | 23 | 23 |
アルブミン濃度 (%) | 12 | 12 |
エタノール濃度 (%) | 4.8 | 4.8 |
回収サンプル | ||
回収液量 (ml) | 546 | 525 |
希釈率 | 1.8x | 1.7x |
エタノール残留率(%) | 0.002 | 0.01 |
アルブミン回収率(%) | 97 | 98 |
Table 1ヒトアルブミン分画からのエタノール除去
産業スケールにおける脱塩Industrial Desalting
セルファインGH-25は機械的強度が高いため産業スケールでの使用ができます。
セルファインGH-25を大型カラム(105 x 587 mm、5L)に充填して、225L/日のサンプル量を脱塩する事例を紹介します。 セルファインGH-25は機械的強度が高いため1250 ml/minの高流速で処理することができます。サイクルタイムは8分/バッチとなります。 サンプルロード量は担体の25 %体積分をロードしました。
Packing | Cellufine GH-25 |
---|---|
カラム (mm) | 105 x 587 |
カラム体積 | 5.1 liters |
流速 (ml/min)(liters/hr) | 1250(75 liters/hr) |
線速 | 870 ml/h/cm² |
通液前のサンプル性状 | 5 % w/v protein in 1.5M NaCL |
サンプルロード量 | 1.27 L (カラム体積の25 %) |
収量/サイクル | 63.6g |
サイクル数/日 | 180 |
サンプル量/日 | 11.4kg |
サンプル回収率 | 99.5 % |
バッファー除去率 | 99 % (0.015M final conc.) |
サンプル希釈倍率 | 1.13 |
回収後の液量/日 | 257 liters |
1日の総処理容量 | 225 liters |
Table 2産業スケールでのサンプル処理例
- セルファインGH-25