セルファイン フェニルEX
抗体凝集体のフロースルー精製に

セルファイン フェニルEX

セルファイン フェニルEXは、独自のリガンド修飾技術によって抗体医薬の凝集体を効率よく除去することができるクロマトグラフィー充填剤です。 抗体の凝集体は選択的に吸着させ、単量体はそのままフロースルー画分に回収されます。 このように不純物を選択的に吸着させるフロースルー精製に使用することができます。

仕様
グレード セルファイン フェニルEX セルファインMAX フェニル セルファインMAX フェニル LS
基材 架橋セルロース 高架橋セルロース 高架橋セルロース
粒径 ca. 40~130 μm
官能基 (リガンド) フェニル基
BSA 吸着容量 (mg/ml) ≧13 ≧14 ≧6
BSA 回収率 (%) > 30 > 40 > 90
操作圧力 < 0.2 MPa > 0.3 MPa > 0.3 MPa
pH 安定性 pH 2 ~ 13
包装形態 20% エタノールに懸濁

構造図Partial structure

  • セルファイン フェニルEX

    官能基 (フェニル基)

    セルファイン フェニルEXのリガンド構造、真球状の多孔質セルロース粒子にフェニル基を固定化

モデルタンパク質を用いた分離特性Model Protein Separation

疎水相互作用クロマトグラフィーは用途によって最適なリガンド量、すなわち疎水性の強さが異なります。 下図はセルファイン フェニルEX、セルファインMAXフェニルのモデルタンパク質の分離挙動を示しています。 この結果からタンパク質の吸着の強さはセルファイン フェニルEX > セルファインMAXフェニルであることが判ります。 すなわち疎水性の強さもセルファイン フェニルEX > セルファインMAXフェニルとなります。

セルファイン フェニルEXのタンパク質溶出パターン
カラム
6.6 mm ID x 50 mm L
バッファー A
10 mMリン酸バッファー(pH 7) + 1.5 M硫酸アンモニウム
バッファー B
10 mMリン酸バッファー (pH 7)
タンパク質
リボヌクレアーゼA, α-キモトリプシノーゲンA, リゾチーム

抗体凝集体の精製事例Example of purification of antibody aggregates

 セルファイン フェニルEXはモノクロ―ナル抗体から凝集体をフロースルーモードで除去するのに最適なクロマトグラフィー担体です。 プロテインA担体で精製後のモノクロ―ナル抗体を用いて抗体凝集体を除去しました。セルファインフェニルEXは低い電気伝導度で高い凝集体除去性を有します。 今回使用したサンプルの電気伝導度は6 mS/cmに調整しています。 このため通常の疎水相互作用クロマトグラフィー充填剤でも問題となる高塩濃度による配管などの腐食、バッファーの析出を抑えることができます。

抗体凝集体の精製事例
カラム
1 mL ミニカラム
流速
滞留時間4分(75cm/h)
サンプル
精製後mAb 6.6 mg/mL, pH6, 6 mS/cm
抗体負荷量
93 mg_mab/mL_CV
平衡化・洗浄
20 mM AcOH-Tris + NaCl, pH6, 6 mS/cm

表に示す通り、モノクローナル抗体の凝集体は3.6%存在しましたが、セルファイン フェニルEXに通すことで0.4%まで減少しました。

担体 凝集体量(カラム前)[%] 凝集体量(回収画分)[%] 抗体回収率[%]
セルファイン フェニルEX 3.6 0.4 87
セルファインMAXフェニル 3.6 1.3 99

流速特性Pressure vs. Flow Properties

セルファイン フェニルEXは高流速で使用できます。これはバイオ医薬メーカーに欠かせない特徴です。 セルファイン フェニルEXは、実製造で操作可能な流速特性を備えています。

セルファイン フェニルEXの流速特性データ
カラム
内径2.6 cm x 高さ19.3cm
温度
23~25 ℃
移動相
純水
コンプレッションファクター1.35で充填。システム圧力を除いた樹脂にかかる圧力を掲載している。

セルファイン フェニルEXの繰り返し使用

セルファイン フェニルEXは繰り返し使用することが可能です。定置洗浄は0.5 M 水酸化ナトリウムに30 %イソプロパノールを加えた洗浄液を用います。適切な洗浄液で定置洗浄を行うことで、60回の繰り返し使用後も吸着性能は変化しませんでした。

セルファイン フェニルEXの繰り返し使用による性能の変化
カラム
1 mLミニカラム
サンプル
ヒトガンマグロブリン 2 mg/mL、平衡化バッファー
平衡化
20 mMリン酸バッファー+ 0.5 M 硫酸アンモニウム, pH7.0
溶出
20 mM リン酸バッファー, pH7.0
定置洗浄
0.5M NaOH+30% IPA(10 CV、暴露時間: 20分)

化学的安定性Chemical and Caustic Stability

以下の溶媒、オートクレーブに対して安定です。

  • エタノール (70%)
  • 水酸化ナトリウム (0.5M)
  • イソプロパノール (30%)
  • 界面活性剤
  • グアニジン塩酸塩 (6M)
  • オートクレーブ (121 ºC, 20 min)
  • 尿素 (6M)

カスタマイズ・特注品の開発も
可能です。

お客様のご要望に応じたグレードの開発も承りますのでご相談ください。

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