セルファイン™ フォスフェイト HC
mRNA薬の合成酵素となるT7 RNAポリメラーゼなど核酸結合タンパク質の精製に
セルファイン™ フォスフェイト HCはタンパクキナーゼ、制限酵素、ヌクレアーゼ、ポリメラーゼなどの核酸関連タンパク質などを精製するアフィニティクロマトグラフィー充填剤です。球状セルロース粒子にリン酸エステル基を固定化しています。
従来のセルファイン™ フォスフェイトと比較して細孔サイズを制御することで、45 kDa以上の分子量の大きなタンパク質の吸着量を向上させています。
特にT7 RNAポリメラーゼなど高分子酵素の精製に最適なクロマトグラフィー充填剤です。
| セルファイン™ フォスフェイト | セルファイン™ フォスフェイト HC | |
|---|---|---|
| リガンド | リン酸エステル基 | リン酸エステル基 |
| ベース担体 | セルロース粒子 | |
| 粒径(μm) | 40 - 130 | |
| 排除限界分子量(kDa) | 30〜40 | 150 |
| イオン交換容量(meq/mL-gel) | 0.3 - 0.8 | 0.2 - 0.8 |
| リゾチーム吸着量(mg/mL-gel) | 140 | - |
| IgG吸着量(mg/mL-gel) | - | 100 |
| 推奨操作圧力(MPa) | < 0.2 | |
| pH安定性 | 5 - 12 | |
| 保存方法 | 2–8 ℃ in 20 % ethanol | |
セルファイン™ フォスフェイト HCの吸着性能Adsorption Performance
モデルタンパク質を用いて、セルファイン™ フォスフェイト HCおよびセルファイン™ フォスフェイトのタンパク質吸着量を比較しました。
セルファイン™ フォスフェイトはリゾチームなど分子量の小さいタンパク質の吸着容量が高い特徴をもちます。これは細孔サイズが比較的低分子量のタンパク質に最適化されているためです。
一方でセルファイン™ フォスフェイト HCは45kDa以上のタンパク質の吸着容量が極めて高い特徴があります。特にmRNA薬の合成で注目されているT7RNAPの吸着容量は従来製品の9倍の性能を持ちます。
このように2つのフォスフェイト充填剤は、タンパク質の分子量によって使い分けることができます。
ピロフォスファターゼ・ワクシニアキャッピング酵素の精製Purification of pyrophosphatase and vaccinia capping enzymes
セルファイン™ フォスフェイト HCはT7RNAPだけでなく例えばピロフォスファターゼやワクシニアキャッピング酵素へ強いアフィニティ活性を示します。10 mMリン酸バッファー pH7でカラムにピロフォスファターゼを吸着させた後、グラジエントで塩化ナトリウム濃度を上げていき、カラムから溶出してくる際の電気伝導度を測定しました(Figure 3)。
ピロフォスファターゼ溶出ピーク時の電気伝導度は74.5mS/cm(0.9 M NaCl相当)となり、強い吸着性が示されています。またワクシニアキャッピング酵素では50mS/cmで溶出ピークが極大となりました(Figure 4)。
このような塩濃度では静電気的相互作用で吸着する夾雑タンパク質はカラム内に残存しません。このためアフィニティ活性を持つ酵素群を効果的に精製することができます。
T7 RNAポリメラーゼの精製事例
セルファイン™ フォスフェイト HCと陰イオン交換クロマトグラフィー充填剤であるセルファイン™ MAX DEAEを用いて、T7RNAPを高純度に精製した事例です。
T7RNAPはFigure 5に示すように溶菌・硫安沈殿を含む前処理工程を経た後、セルファイン™ MAX DEAEおよびセルファイン™ フォスフェイト HCを経ることで高純度に精製することが出来ます。
| 精製工程 | 酵素活性 (U) |
タンパク質 (ng/Unit) |
DNA (pg/Unit) |
|---|---|---|---|
| ロードサンプル | - | 5.27 | 1.14 |
| セルファイン™ フォスフェイト | 626,816 | 1.53 | 0.58 |
| セルファイン™ フォスフェイト HC | 603,621 | 1.69 | 0.49 |