アフィニティクロマトグラフィー充填剤

セルファインTMホルミル

モノクローナル抗体、ポリクロ―ナル抗体、抗原タンパク質やペプチドなど、リガンドを固定化する場合にご利用ください。

 従来から使用されているアガロースベースのリガンド固定化担体は、ベース担体が柔らかく、産業に使用される大型カラムに充填することが困難でした。またCNBrをリガンドとする担体はリガンド固定化が不安定でリガンドの脱離の懸念がありました。
 セルファインホルミルはホルミル基(アルデヒド基)が極めて安定で、共有結合によるタンパク質リガンドとの強固な反応が可能な固定化用担体です。真球用で、タンパク質が容易に入る大きさの細孔を持っているため、リガンド固定化用担体として最適な物性を備えています。また大型カラムでの使用が可能な機械的強をを持っています。

特徴Features

  • ラボスケールだけではなく産業スケールで使用可能な、機械的強度をもつので高流速で使用できます。
  • 固定化担体とリガンドは共有結合しますので、リガンドリークが少ない安定的なリガンド固定化担体が合成できます。
  • ベース担体はセルロース粒子のため、化学的に安定です。
  • リガンドにもよりますが、高機能の吸着量を持つリガンド固定化担体が合成できます。
  • 市販の4%アガロース担体と同等の細孔サイズを持ちますので、タンパク質などの高分子のリガンドを固定化しても高い動的吸着量を誇ります。
  • 水酸基の多い多糖にホルミル基を付加した担体ですので、非特的吸着が少ない特徴を持ちます。
  • リガンドのカップリングは温和な条件で短時間で完了しますので、リガンドの失活を防ぐことができます。
  • 高温に安定なセルロース粒子をベース担体としますので、過酷な反応にも耐えられます。
  • 長期保存しても活性化能を維持しています。
特徴
ベース担体 架橋セルロース粒子
排除限界分子量 4,000kD
平均粒径 125 - 210µm
粒子形状 真球状
セルロース濃度 0.7g/ml
形状変化 バッファーのpHやイオン強度を変えても形状が変化しません。
化学安定性 ベース担体は0.1M HClや0.5M NaOHに安定です。また多くの有機溶媒に耐性があります。
機械的強度 ぺりスタティックポンプや強い撹拌条件でも使用できます。
オートクレーブ 使用可能
タンパク質固定化量 40mg protein/ml(リガンドや反応条件で異なります)
操作圧 < 1 bar (15 psi)
ベース担体 活性化官能基 スペーサー長さ(原子) 官能基濃度 (μmol/ml)
セルロース ホルミル基 8 15 - 20

流速特性Pressure / Flow Characteristics

セルファイン ホルミルの流速特性データ
Figure1Pressure/flow characteristic of Cellufine Formy versus 4 % cross-linked agarose gel
カラム
16 x 200mm
セルファイン ホルミルのリガンド構造
Figure2Partial structures of Cellufine activated supports

使用例Applications

固定化リガンド 精製対象分子
  • 抗体
  • 抗原
  • プロテインA、G、L
  • レクチン
  • サイトカイン
  • 酵素
  • 抗原
  • 抗体
  • 抗体
  • 糖タンパク質
  • サイトカイン受容体
  • 酵素基質

Table 1General Applications of Cellufine Activated Supports

抗体固定化担体による抗原精製Antigen Purification

Figure 3は大規模スケールでの、抗原精製の事例となります。抗HBS抗体をセルファインホルミルに固定化して、HBS(B型肝炎表面抗原)を高純度、高収率で精製することができました。 3,000Lの血漿を超えるロード量、30月を超える使用期間でも大きな劣化が無く、極めて安定的に抗原を精製出来ました。

 リガンド固定化担体を合成するために、45Lの抗HBS抗体を持つ馬血清を、硫安沈殿法で濃縮した。その後、0.2Mリン酸(pH7),0.1M NaClにバッファー置換した。この操作で得られた抗体を含む血清を12Lのセルファインホルミルに反応させた。その後80 gの水素化シアノホウ素ナトリムを還元剤として加えて、4℃~ 8℃で24時間反応させて担体に共有結合させた 。得られたリガンド固定化担体を使用バッファーで洗浄後、カラムに充填した。
(ロードサンプルのヒト血清は、このカラムに使用する前に遠心分離、硫安沈殿、ゲルろ過担体を経て準備しています。)

セルファイン ホルミルによるB型肝炎表面タンパク質(HBS)の精製データ、B型肝炎表面タンパク質抗体を固定化
Figure3Purification of hepatitis B surface antigen (HBs Ag) with Cellufine Formyl immobilized antibody
サンプル
1200 liters semi-purified HBs Ag-positive human plasma
カラム
140 x 780mm (12 liters) Cellufine Formyl Horse Anti-HBs Ag
洗浄バッファー
0.1M NaCl, 0.2Mリン酸バッファー(pH7.0)
溶出バッファー
0.2M グリシン/HCl (pH 3)
流速
20cm/hr(サンプルロード/洗浄時) 26cm/hr(溶出時)
溶出体積
14 L (85倍の濃縮)
収率
87 %
純度
149倍

レクチン固定化担体の精製事例RCA, Purification

レクチン(コンカナバリンA = ConA)をセルファインホルミルに固定化して、糖タンパク質RCA (ricinus communis agglutinin)を精製した事例をFig.4に示す。50mgのCon A を1mlの0.1M酢酸バッファー (pH 6.4)、1mM MgCl2、1mM MnCl2 、1mM CaCl2 、メチルα-D-マンノシドを含む溶液に懸濁して溶解したリガンドサンプルを0.5g(湿潤担体)のセルファインホルミルに加え4℃、終夜で反応した。その後、水素化シアノホウ素ナトリムを加えた後、4℃、終夜で反応させて共有結合した。

セルファイン ホルミルによるRCA (ricinus communis agglutinin)の精製データ、レクチン(コンカナバリンA = ConA)を固定化
Figure4Purification of Ricinus communis agglutinin (RCA) on Cellufine Formyl concanavalin A (Con A)
サンプル
66ml RCA(30mg/ml)
カラム
0.9 x 9mm (0.6ml) セルファインホルミル固定化Con A
洗浄バッファー
0.1M NaCl
平衡化バッファー
0.2M リン酸バッファー (pH 7.2)
溶出バッファー:
0.2M メチル-α-D-マンノシド
流速
12cm/hr

固定化のメカニズムA GENERAL SUPPORT FOR PROTEINS Cellufine Formyl

セルファインホルミルに固定化されているホルミル基(アルデヒド基)はタンパク質の一級アミノ基とシッフ塩基を形成します。次いで還元剤(水素化シアノホウ素ナトリウム。水素化法素ナトリウム等)を使用してシッフ塩基を還元して強固な共有結合にします。Table 2では一般的な固定化方法を述べています。

セルファイン ホルミルの固定化反応のメカニズム
Figure5Cellufine Formyl Reaction Mechanism

推奨される還元剤Reducing Agents

セルファインホルミルはリガンドを安定的に共有結合させるために還元剤を必要とします。還元剤を選定する場合、タンパク質リガンドを失活させないような還元剤を推奨しています。水素化ホウ素ナトリム(NaBH4)、水素化シアノホウ素ナトリム(NaCNBH3) 、トリメチルアミノボラン ((CH3)3NBH3)などは使用実績も多く好適に使用できる還元剤です。いずれの還元剤も、10mg/g-湿潤担体以下で使用することができます。 還元剤量に関しては、リガンドリーク量、活性率を考慮しながらリガンドに最適な条件を探索する必要があります。

リガンド固定化方法Coupling with Formyln

セルファインホルミルへのリガンドの固定化は迅速に反応が進行します。ですが、不安定な機能性タンパク質をリガンドとする場合、タンパク質の失活を防ぐために穏やかな反応条件にする必要があります。タンパク質の活性を指標として最適な反応条件を決定することで優れたリガンド固定化担体を合成することができます。反応時のパラメータにはpH条件、反応時間、反応温度などがあげられます。

カップリング効率(仕込量に対する固定化されたリガンド量)や固定化されたリガンド固定化量(担体に固定化されたリガンド濃度)はカップリング反応時のリガンド濃度、pH、反応温度、反応時間で容易に調整できます。産業スケールで使用する場合は、より良い固定化反応条件を探索することでコストパフォーマンスにすぐれたプロセスを構築することができます。

1 担体を純粋で洗浄後、リガンドを含む反応バッファーを加える。
2 1~2時間、撹拌する。
3 還元剤を加える。
4 1~10時間撹拌する。
5 弱い還元剤を使用する場合、0.2M Tris/HCl (pH 7)または1Mエタノールアミンで未反応のホルミル基を還元する。水素化ホウ素ナトリウムの場合、条件によってはブロッキングは不要。
6 使用するバッファーなどで洗浄する。
7 カラムにパッキングする。

Table 2Typical general protocol used for ligand coupling with Cellufine Formy

抗原固定化担体による抗体の精製事例Antibody Purification

 セルファインホルミルへのリガンド固定化量は、反応時のリガンド濃度が高い場合、多くなる傾向があります。精製されたリガンドが容易に入手できる場合、高濃度のリガンドを反応させることで高い固定化量を実現できますが、カップリング効率は犠牲になる傾向があります。 しかし一般的には、精製されたタンパク質などのリガンドは非常に高価であり、 固定化量が低くても、十分な性能が得られる場合もあります。

この実例ではBSA(ウシ血清アルブミン)を固定化してラビット抗BSA抗体を精製するカラムを作製しました。BSAの固定化量は3mg/mlと少なくして、固定化効率を98%にすることでカップリング効率を優先してカラムを作製しました。

セルファイン ホルミルによる抗BSAポリクロ―ナル抗体の精製データ、BSA(bovine serum albumin)を固定化
Figure6Purification of rabbit anti-bovine serum albumin (BSA)antibody with Cellufine Formyl BSA
サンプル
24ml 硫安沈殿後のラビット血清
カラム
14 x 34mm カラム、セルファインホルミルBSA固定化担体 (5.2ml)
平衡化バッファー
0.05M リン酸バッファー (pH 7.4)
洗浄バッファー
0.05M リン酸バッファー (pH 7.4)/0.5M NaCl
溶出バッファー
0.2M グリシン/HCl (pH 2.25)
流速
27cm/hr
収量
27mg 抗体
精製度
20倍

5g湿潤担体のセルファインホルミルを0.1Mリン酸バッファー(pH7.1)で洗浄。次いで4mg/ml濃度のBSA溶液を5mL加えて25℃で12時間反応させた。バッファーで洗浄後、 5mLの0.4Mエタノールアミンを加えて、25℃で4時間反応させた。最終的にBSAの固定化量は3.0 mg/mlだった。

カスタマイズ・特注品の開発も
可能です。

お客様のご要望に応じたグレードの開発も承りますのでご相談ください。

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