DEVELOPMENT開発中製品情報

開発品のご紹介:
セルロース担体MLP1000 DexS

セルロース担体MLP1000 DexSとは

セルロース担体MLP1000は、高度に架橋されたセルロース粒子であり、大孔径の連通孔構造を有しています。 サイズの大きなウイルスおよびウイルス様粒子の精製において、担体内部を吸着サイトとして利用できるため、高い吸着、精製能力を発揮します。 セルロース担体MLP1000 DexSはMLP1000にデキストラン硫酸を固定化したクロマトグラフィー担体です。ウイルスの精製に最適なクロマトグラフィー担体です。

開発品の取扱い方について

セルロース担体MLP1000 DexSは開発品となります。クロマトグラフィー充填剤セルファインはISO 9001により品質が保証されていますが、本品は開発中につき、品質や名称が変更される可能性があります。
本品は販売しておりません。開発品として少量のサンプル提供を行っております。本品を製造用途で検討してみたい企業様(医薬品製造、診断薬、その他製造等)、研究者様におかれましては、その旨ご同意頂き、用途を勘案の上、サンプルをご提供させて頂きます。 サンプルのご要望は以下までお問い合わせください。

セルロース担体MLP1000 DexS

セルロース担体MLP1000 DexSは、高度に架橋されたセルロース粒子で、大孔径の連通孔構造を有しています。サイズの大きなウイルスおよびウイルス様粒子の精製において、担体内部を吸着サイトとして利用できるため、高い吸着量、精製能力を発揮します。

MLP1000 SEM
Fig.1 MLP1000のSEM写真
MLP1000 pore size
Fig.2 MLP1000のPEG、PEOの保持時間
7.8 mm ID x 300 mmカラムに担体を充填後、指標となる分子量が異なったポリエチレングリコール(PEG)またはポリエチレンオキサイド(PEO)を流速0.4 mL/minで通液して保持時間を確認した。

セルロース担体MLP1000 DexSの特徴をTable 1に示します。

ベース基材 架橋セルロース
粒子径 90μm (40 – 150 μm)
リガンド デキストラン硫酸基
操作圧 < 0.3MPa

Table 1 セルロース担体MLP1000 DexSの特徴

セルロース担体MLP1000 DexSは、高度に架橋されたセルロース粒子です。 ウイルス粒子が入る極めて大きな連通孔を有するにもかかわらず、バイオ医薬品の生産で使用されている大型カラムにおいても使用可能な耐圧性、流速特性を備えています。

Pressure flow curve of セルロース担体MLP1000 DexS
Fig.3 MLP1000 DexSの流速特性
2.2 cm ID x 20 cmのカラムに担体を充填後、24℃±1℃の純水を移動相として流速と圧力の関係を評価した。

不活化インフルエンザウイルスの精製事例

インフルエンザウイルスH1N1型を培養した鶏卵由来の尿膜液を用いてクロマトグラフィー精製を行いました。 市販担体Aと比較して、MLP1000 DexSは破過されずにインフルエンザウイルスを吸着し続けました。この結果から動的吸着量は極めて高いことが判ります。

purification for ful with mlp
Fig.4 MLP1000 DexSの動的吸着量
インフルエンザウイルスの動的吸着量を示す。クロマトグラフィーの条件は以下の通り。

カラム:I.D. 5.0 x 15 mm (0.3 mL)
ロードサンプル:鶏卵由来の尿膜液
不活化インフルエンザウイルスを含む
ウイルス株:A/Hyogo/YS/2011(H1N1)
流速:0.5 ml/min(150 cm/h、R.T. 0.6 min)
平衡化液:10 mM リン酸Na、120 mM NaCl、pH 7.4
洗浄液:10 mM リン酸Na、120 mM NaCl、pH 7.4
溶出液:10 mM リン酸Na、2 M NaCl、pH 7.4
工程 液量 mL ウイルス活性 HA価 タンパク質量 µg dsDNA量 µg 回収率 %
尿膜液 20 99,600 10,100 6.4 100
フロースルー 20 400 9,220 3.6 1
洗浄液 6 1,560 786 0.3 2
溶出液 1.5 92,880 975 1.4 93

Table 2 クロマトグラフィー後の評価

セルロース担体MLP1000 DexSのクロマトグラフィー後、液量は20 mLから1.5 mLになり、13倍まで濃縮することができました。 不純物となるタンパク質量は10,100 µgから975 µgになり、9.7%まで減少させることができました。また、dsDNA量も同様に22%まで減少させることができました。 クロマトグラフィーによって最終的なウイルスの回収率は93 %と良好な回収率でした。 高吸着性能はセルロース担体MLP1000 DexSの大きな特徴ですが、回収率も良好であることが示されました。

不活化ヒトコロナウイルスの精製事例

ヒトコロナウイルス OC43(hCoV OC43)は、COVID-19感染症を引き起こすSARS-Cov-2とおなじベータコロナウイルス種に属する、およそ100nmのサイズの一般的な風邪の原因ウイルスです。 ベロ細胞で培養したヒトコロナウイルス OC43のクロマトグラフィーによる精製事例を紹介します。

purification for ful with mlp
Fig.4 MLP1000 DexSの動的吸着量
ヒトコロナウイルス OC43(hCoV OC43)の動的吸着量を示す。クロマトグラフィーの条件は以下の通り。

カラム:I.D. 5.0 x 15 mm (0.3 mL)
ロードサンプル:ベロ細胞由来の培養上清
不活化ヒトコロナウイルスOC43を含む
流速:0.3 ml/min(90 cm/h、R.T. 1.0 min)
平衡化液:10 mM リン酸Na、150 mM NaCl、pH 7.4
洗浄液:10 mM リン酸Na、120 mM NaCl、pH 7.4
溶出液:10 mM リン酸Na、2 M NaCl、pH 7.4
 溶出1:gradient (0→25%), 25 CV
 溶出2:isocratic (100%), 10 CV
工程 液量 mL ウイルス活性 HA価 タンパク質量 µg dsDNA量 µg 回収率 %
培養上清液 34.5 120,186 6,394 52.79 100
フロースルー 20 1,020 4,376 55.53 0.8
洗浄液 6 90 57 2.25 0.1
溶出液(gradient, isocratic) 1.5 108,990 170 4.95 91

Table 3 クロマトグラフィー後の評価

セルロース担体MLP1000 DexSのクロマトグラフィー後には、不純物となるタンパク質量は6394 µgから170 µgになり、2.7%まで減少させることができました。 また、dsDNA量も同様に9%まで減少させることができました。また、回収利率は91%と良好な回収率でした。MLP1000 DexSを用いることで ベータコロナウイルス属のヒトコロナウイルスOC43においてもより効率的な精製が可能になることが示されました。

カスタマイズ・特注品の開発も
可能です。

お客様のご要望に応じたグレードの開発も承りますのでご相談ください。

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