FEATURES

製品の特⻑

ポリリジンの静菌効果

微⽣物の成⻑を抑える静菌効果

ポリリジンには、幅広い微⽣物に対する⽣育抑止効果(静菌効果)があります。
作用の原理としては、ポリリジンのカチオン部位(正に荷電)と微⽣物の細胞膜表面のアニオン部位(負に荷電)が静電相互作用することで細胞膜を損傷し、増殖を抑えます。
この様な単純なメカニズムによって作用することから、広範囲(腸管出血性大腸菌をはじめとしたグラム陰性菌、グラム陽性菌、酵母、カビ)の微⽣物に対して⽣育抑止効果が認められます。

微⽣物に対する最小発育阻止濃度

試験菌 最小発育阻止濃度
mg/L
Lactobacillus brevis 乳酸菌ヘテロ 10
Lactococcus lactis 乳酸菌ホモ 100
Escherichia coli ( NBRC 13500) 大腸菌 50
Staphylococcus aureus ⻩⾊ブドウ球菌 12
Pseudomonas aeruginosa 緑膿菌 < 3
Salmonella enterica subsp. enterica サルモネラ菌 16
Bacillus subtilis 枯草菌 3
Bacillus cereus セレウス菌 50
Geobacillus stearothermophilus 耐熱性好温菌 5
Micrococccus luteus ミクロコッカス 16
Clostridium sporogenes 嫌気性菌 32
Campylobacter jejuni 嫌気性菌 100
Saccharomyces cerevisiae アルコール酵⺟ 50
Candida albicans カンジダ菌 250
Candida utilis 耐塩性酵母 < 3
Pichia membranifaciens 耐塩性酵母 < 3
Wickerhamomyces anomalus 耐塩性酵母 150
Zygosaccharomyces rouxii 耐塩性酵母 150
Rhodotorula lactosa ⾚⾊酵⺟ 25
Aspergillus brasiliensis ⿊コウジカビ 250
Malassezia furfur フケ原因菌 16

幅広いpH領域で静菌作用を発揮するポリリジン

ポリリジンは幅広いpH領域で優れた静菌作用を発揮します。静菌作用を持つ既存原料と⽐較しても、最小発育阻止濃度(MIC)が低く、幅広いpH領域で優れた静菌作用を発揮します。このため、食品の風味を損なわず、食品の日持ちを向上させることができます。

種々のpH領域における大腸菌に対する各種抗菌剤の最小発育阻止濃度(mg/L)

分類 抗菌物質 pH
5 6 7 8 9
保存料 ポリリジン 25 25 50 50 200
ソルビン酸 8,700 13,400 15,000 25,000 -
日持ち向上剤 酢酸 15,000 35,000 35,000 60,000 -
グリシン 35,000 20,000 15,000 10,000 10,000

加熱しても優れた静菌作用を⽰します

ポリリジンは加熱しても抗菌性が低下しにくい物質です。120℃で20分間加熱しても静菌作用を維持していました。熱に対する安定性がありますので、食品への添加や、その他の産業剤への幅広い応用が可能です。

E. Coli (NBRC13500)に対する
最⼩発育阻⽌濃度(MIC)

加熱条件 最小発育阻止濃度(mg/L)
加熱なし 50
80℃, 60分間 50
100℃, 30分間 50
120℃, 20分間 50

優れた殺菌作用を⽰すポリリジン

酢酸などの食品保存料は静菌作用を与えますが、ポリリジンは殺菌作用を期待することができます。このため酢酸などの日持ち向上成分にポリリジンを併用して添加すると、相乗効果による消費期限の延長が期待できます。また酢酸の使用量を抑えることができますので、食品の風味を損なわずに優れた静菌作用が期待できます。JNCでは、他の食品保存料とポリリジンとを組み合わせたポリリジン製剤を取扱っております。

タンパク質等を凝集させる効果

ポリリジンには、菌体、蛋⽩質、核酸、多糖等を凝集・沈殿させる効果があります。
ポリリジンのカチオン部位と菌体等のアニオン部位との作用により、強い凝集性が⽰されます。

菌体の凝集・沈殿効果

キサンタンガムの凝集・沈殿効果

細胞の足場材としての吸着効果

ポリリジンには、細胞を吸着させる効果があります。毒性が非常に低いことから、安定的に様々な細胞を定着させることができます。
HeLa D98細胞培養において、ε-ポリリジンはα-ポリリジンよりも良好な細胞接着効果を⽰しました。

  • ノンコート

  • α-ポリリジン

  • ε-ポリリジン

ポリリジンの角層、毛髪への吸着

ポリリジンには、毛髪や角層に吸着する効果があります。ポリリジンを吸着処理した毛髪では、櫛通りの改善やキューティクルの保護が⾒られました。ポリリジンによる髪質改善効果が期待できます。

蛍光ラベルしたポリリジンのヒト角層への吸着

  • 0 μg/mL

  • 10 μg/mL

  • 30 μg/mL

  • 100 μg/mL

  • ポリリジン濃度依存的に
    蛍光強度上昇

蛍光ラベルしたポリリジンのヒト毛髪への吸着

  • 0 μg/mL

  • 1 μg/mL

  • 10 μg/mL

  • 100 μg/mL

  • ポリリジン濃度依存的に
    蛍光強度上昇

provided from Professor Tetsuji Hirao
in Mukogawa Woman’s University

ポリリジンによる消臭効果

悪臭物質にポリリジンを添加することで、消臭効果が得られました。特に低級脂肪酸に対して消臭効果を⽰します。

F2sバッグに悪臭物質、ポリリジンまたは純水を添加した。空気を充満させ、密封して温浴させた。放冷後、検知管にて悪臭物質濃度を測定した。

ポリリジンによる分散効果

ポリリジンによるナノ材料の分散

ポリリジンを添加することで、カーボンブラックの水への分散性が向上します。ナノ材料はファンデルワールス⼒によって凝集することが知られています。ポリリジンはカチオンポリマーですので、ファンデルワールス⼒を抑制し、ナノ材料をよく分散させることができます。

各種ポリリジン水溶液にカーボンブラックを投入した直後の様子

各種ポリリジン水溶液にカーボンブラックを投入後、攪拌した様子