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ポリリジンの活⽤例
化粧品|化粧品原料としてのポリリジン
ポリリジンは化粧品原料として、トリートメントや美容液、乳液、ファンデーションなどの化粧品に処⽅することができます。ポリリジンは⾷品保存料としても利⽤されている、極めて安全性の⾼い天然アミノ酸です。 ⽯油化学由来の成分と⽐較して低刺激性で優れた効果を発揮します。
例えば、防腐剤と使用されているアルコール、パラベン、フェノキシエタノールの代替を⽬的として、ポリリジンを添加することができます。
ポリリジンはフケの原因菌となるマラセチア菌への殺菌効果があり、トリートメントなどに処⽅することでフケを抑えることが期待できます。 ニキビの原因菌となるアクネ菌への殺菌効果があり、各種化粧品へ処⽅することでニキビ抑制の効果が期待できます。このようにスキンケア用途が期待できます。
カチオンポリマーであるポリリジンは毛髪に吸着します。このためトリートメントやコンディショナーに添加することで、ブラッシング時のパサつきや、ブリーチによる毛髪ダメージを軽減でき、ヘアケア用途が期待できます。
化粧品の防腐効果
ポリリジンは化粧品原料として使用される防腐剤の効果を高めます
A. brasiliensis (NBRC9455)に対する最⼩発育阻⽌濃度(MIC)
化粧品には防腐剤として、オクタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ペンタンジオールなどが使用されています。ポリリジンを併用して添加することで、これらの有機物質の使用量を抑えることができます。
ポリリジンは水溶性が高いため、皮膚への残存性が低く、肌ストレスを与えません。
様々な有機溶媒中でも優れた抗菌作用を発揮するポリリジン
化粧品原料で使用される様々なポリオールの存在下でも抗菌作用が期待できます。
1,3-BG 5% | ポリリジン0.1% | ポリリジン0.1% 1,3-BG 5% |
パラベン0.1% 1,3-BG 5% |
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Aspergillus nigar | ✕ | △ | ○ | ○ |
Escherichia coli | ✕ | ◎ | ◎ | ○ |
Staphylococcus aureus | ✕ | △ | ○ | ✕ |
Pseudomonas aeruginosa | ✕ | ◎ | ◎ | ✕ |
Candida albicans | ✕ | ◎ | ◎ | △ |
1,3-BG 5% | ポリリジン0.1% | ポリリジン0.1% 1,3-BG 5% |
パラベン0.1% 1,3-BG 5% |
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---|---|---|---|---|
Aspergillus nigar | ○ | ○ | ○ | ○ |
Escherichia coli | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
Staphylococcus aureus | ○ | ○ | ○ | ○ |
Provided:ICHIMARU PHARCOS Co., Ltd.
初発菌数︓ 105CFU/mL
評価︓菌なし◎、減少○、変化なし△、増殖×
ポリリジンは抗菌物質の効果を高めます
グレープフルーツ種⼦抽出物は抗菌作用のある天然物です。同じく天然の抗菌物質であるポリリジンを併用することで、殺菌作用を一層高めることができます。
グレープフルーツ種子抽出物とポリリジンによる殺菌効果
試験菌︓ Escherichia coli (NBRC3972)
初発菌数︓ 1.6×106 CFU/mL
試験条件︓ 1%普通ブイヨン(pH 7.0)
ポリリジンのスキンケア効果
フケ原因菌(Malassezia furfur)に対するポリリジンの殺菌効果
ポリリジンはフケの原因菌として知られているマラセチア菌(Malassezia furfur)に対する殺菌効果があります。このためトリートメントなどに処方することでフケを抑える効果が期待できます。
残存菌数(CFU/mL)
菌体との接触時間 | ||||
---|---|---|---|---|
0分 | 5分 | 10分 | 20分 | |
リン酸緩衝液 | 9.4×104 | 4.0×104 | 4.7×104 | 4.4×104 |
ポリリジン | 9.4×104 | <10 | <10 | <10 |
Provided:ICHIMARU PHARCOS Co., Ltd.
リン酸緩衝液︓ 10mM リン酸緩衝液(pH6.9)
ポリリジン︓ ポリリジン0.1%含有10mM リン酸緩衝液(pH6.9)
カチオン界面活性剤を主剤としたトリートメントに既存の抗フケ剤とポリリジンを添加したところ、既存の抗フケ剤であるピロクトンオラミンやジンクピリチオンと⽐べ、ポリリジンはフケ原因菌であるマラセチア菌に対する高い殺菌性を⽰しました。
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作用時間 ~ 10分
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作用時間 ~ 180分
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作用時間 ~ 1200分
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カチオン界面活性剤を主剤としたトリートメントに下記薬剤を添加した場合のM. furfurに対する殺菌効果。
1000 ppm ポリリジン(EPL)、3000 ppm ピロクトンオラミン(PO)、1000 ppm ジンクピリチオン(ZPT)
ニキビ原因菌(Propionibacterium acnes)に対する殺菌効果
ポリリジンはニキビの原因菌として知られているアクネ菌(Propionibacterium acnes)に対する殺菌効果があります。このため各種化粧品に処方することでニキビケアの効果が期待できます。
残存菌数(CFU/mL)
菌体との接触時間 | ||||
---|---|---|---|---|
0分 | 30分 | 60分 | 240分 | |
滅菌生理⾷塩水 | 2.1×106 | - | - | 2.0×106 |
ポリリジン1,000ppm | 2.1×106 | 2.5×104 | 4.8×102 | <10 |
ポリリジン100ppm | 2.1×106 | 3.1×104 | 1.8×102 | <10 |
試験菌:Propionibacterium acnes (NBRC107605)
ポリリジン:pH7.0に調整(塩酸)
ブランク:滅菌⽣理食塩水(pH6.9)
各種の化粧品への処方時の殺菌効果
ポリリジンを添加した各種化粧品についてチャレンジテストを実施しました。初期接種菌数から減少し、28日まで微⽣物の増殖を抑えました。
Staphylococcus aureus
生存菌数(CFU/g)
接種菌数 | 7日目 | 14日目 | |
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化粧水 | 1.0×106 | 0 | 0 |
乳液 | 1.0×106 | 0 | 0 |
クリーム | 1.0×106 | 1.5×102 | 0 |
Aspergillus brasiliensis
生存菌数(CFU/g)
接種菌数 | 14日目 | 14日目 | |
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化粧水 | 1.0×106 | 4.7×104 | 3.2×104 |
乳液 | 1.0×106 | 1.0×105 | 6.3×105 |
クリーム | 1.0×106 | 5.9×104 | 5.7×104 |
目視での菌体または胞子形成は認められなかった。
Provided:ICHIMARU PHARCOS Co., Ltd.
ポリリジンのヘアケア効果
髪のパサつきを抑えるポリリジンの効果
ポリリジンは毛髪に吸着することで、髪のパサつきを抑えることができます。
毛髪はブラッシングすることで静電気を帯びます。しかしポリリジンはカチオンポリマーですので静電気が打ち消されて髪のパサつきを抑えることができます。
ポリリジン処理⽑:1000 ppm ポリリジンをアトマイザーで⽑髪に塗布後乾燥して調製
恒温恒湿(20℃、30 %RH)にて順化させた⽑束を30回ブラッシングし、髪の広がりを測定
髪のパサつきを抑えるポリリジンの効果
カチオンポリマーであるポリリジンは、ブリーチによる毛髪ダメージを緩和します。下の画像はブリーチ処理後の毛髪の電⼦顕微鏡写真です。ブリーチ処理をすると髪の水分が少なくなり、静電気によってキューティクルが剥がれます。しかしトリートメントやコンディショナーにポリリジンを添加することで、静電気が打ち消されてキューティクル間の反発が緩和します。このためポリリジンを添加することでブリーチによる毛髪ダメージの緩和が期待できます。
ポリリジン処理⽑︓ブリーチ⽑を1,000 ppm ポリリジン水溶液に5分間浸漬後、水洗、乾燥して調製
化粧品でのポリリジン採用事例
ポリリジンは様々な化粧品で使用されています。
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ヘアケア用品
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スキンケア用品
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美容液