NEW BUSINESS 新規事業への取り組み
高速無線通信を支える特殊な液晶材料
現在、5G高速無線通信網の整備が進んでいます。
また、地球規模の通信エリア拡張のため、低軌道衛星を使った通信サービスも構築され始めています。
これらの通信にはミリ波が活用されていますが、ミリ波は直進性が高いため、適切に進行方向を制御する必要があります。
そのために、液晶デバイスでミリ波の進行方向を制御する技術開発が行われており、
JNCではそのデバイスに適した液晶材料を開発しています。
ミリ波
5G高速無線通信では、26GHz~300GHzの周波数帯の電波を指します。
強い直進性を持ち、主に自動車の衝突防止レーダーや、電波望遠鏡による天体観測に利用されています。大容量の情報伝送が可能なため、今後のさらなる利用促進に向けた法整備や技術開発が進められています。
事業環境・社会的な課題
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液晶材料の新たな用途拡大 -
グローバル通信サービスの
エリア拡張と品質向上 -
コネクテッドカーの早期普及 -
5G高速無線通信網の構築・整備の迅速化
プロジェクトの構成
本テーマはコーポレートテーマとして、新事業の研究開発を担う研究開発本部の支援により推進しています。プロジェクトメンバーは、ディスプレイに用いられる液晶材料の開発および製造販売を行っている液晶事業部に所属しており、研究開発を効率的に進めています。
JNCの強みと今後の事業展開
JNCは、1973年に液晶材料の製造設備を完成させて以来、約50年にわたりディスプレイ向けの液晶材料の製造販売を続けています。これまで積み重ねてきた液晶材料に関する技術力と豊富な製造実績は、JNCの強みであり、新しい技術であるミリ波の進行方向を制御する液晶材料の開発および製造販売に活かせると考えています。
- 液晶材料に関する豊富な知見
- 液晶材料の販売実績
- 液晶業界との強い繋がり

地球規模の通信サービス
いまだ世界人口の約3分の1にあたる人々は、インターネットが利用できないか、低品位なアクセス環境に置かれています。
これに対して現在、低軌道衛星とアンテナを用いたグローバルな通信網の構築が進んでいます。
液晶パネル技術を活用したスマートアンテナは、発熱が小さく低コストであるため実用化が推進されており、JNCの液晶技術がスマートアンテナの普及に大きく貢献することが期待されます。

コネクテッドカー
コネクテッドカー(つながるクルマ)や自動運転車の開発・実用化が進められています。
その実現に欠かせないのが高度な通信技術です。液晶パネル技術を活用したスマートアンテナは、消費電力が小さく、小型・軽量なため車載に適しています。また、液晶技術は自動運転車に不可欠なセンサーデバイスへの適用も検討されています。この分野でもJNCの液晶技術が重要な役割を果たします。

5G高速無線通信網
ミリ波を活用した5G高速無線通信では、超高速・大容量、超低遅延および多数同時接続が期待されるものの、ミリ波は直進性が強く、カバレッジホール(電場が届かないエリア)の課題があります。
これに対して、液晶パネル技術を活用し、電波の反射方向を制御する反射板が開発されています。JNCの液晶技術が効率的なカバレッジホールの解消に貢献します。