洗浄法・消毒法
洗浄
   微生物試験、化学試験問わず、使用する器具類の洗浄は極めて重要なことであり、目に見えない試薬類、培地、培養物の一部がわずかでも残っているような洗浄不十分のガラス器具等で行なわれた実験は信用できません。実験方法によって、洗浄方法は異なりますが、一般的には普通セッケン、中性洗剤などで充分ブラシがけをして洗った器具は水道流水中で洗った後、すみやかに乾燥させます。

   必要に応じて、特殊な実験室用洗剤を使用したり、水道水で洗った後、さらにイオン交換樹脂を通過した脱イオン水で洗ってから乾燥させます。

消毒
  食品衛生の分野でよく使われる消毒剤はアルコールで、消毒用アルコールは70〜80%のエチルアルコールが最も殺菌力が強いです。手指の消毒の他、試験検体の包装の表面消毒にも使われます。クレゾール石けん液(1〜3%水溶液)は手指の消毒に使われます。逆性石けんは毒性が弱いので、食器などの消毒にも使用できます。

 

  滅菌法

  最も一般的な加熱滅菌法には、乾熱法と湿熱法とがあります。いずれも加熱によって、微生物の菌体タンパク質が変性をうけて死滅します。一般細菌の栄養型は熱に対して抵抗性が弱く、50〜70℃、数分間で死滅しますが、細菌芽胞は抵抗力が強いです。放射菌やカビの胞子は100℃、15〜30分で死滅しますが、一部のカビ胞子ではさらに耐熱性があります。

火炎滅菌法
  細菌検査に用いる白金耳、白金線(実際にはニクロム線が多い)、または細菌などの培養で栓を取り扱う際の試験管、フラスコなどの口の滅菌に用います。
乾熱滅菌法
  ガラス器具、金属製品の滅菌に用います。試験管、三角フラスコはPPキャップのあるいはアルミキャップをしたもの、ピペット、シャーレは滅菌専用包装紙で包むか、あるいは専用の滅菌缶に収納してから滅菌します。通常、160℃で1時間、または180℃で20〜30分間行います。乾熱滅菌装置には都市ガス等により加熱するものと、電熱式のものがあります。滅菌処理ののち、まだ高温のうちに装置の扉を開けると、紙など燃焼性のものは急速に酸化されて、焦げたり、引火したりすることがあるので、密封したまま温度の下降を待って(放冷)、扉を開けるようにします。
湿熱滅菌法
  最も一般的な湿熱滅菌法は高圧蒸気滅菌器(オートクレーブ)を用いるもので、滅菌や、乾熱滅菌に向かない器材の滅菌に用いられます。この滅菌法により栄養型の菌や、細菌芽胞も完全に死滅するので、培地の滅菌や、乾熱滅菌に向かない器材の滅菌に用いられます。なお、プラスチック、ゴム製品、布製品などには高圧滅菌すると変形、変質するものが多いので、その材質には充分注意を払います。また、培地の成分によっては高圧滅菌で分解する組成分が含まれている場合は使用できません。
   圧力をかけない平圧蒸気滅菌法(1日1回、3日連続の滅菌)もありますが、抵抗性の強い細菌芽胞は生き残ってしまうことがありますので、特殊な場合を除いてあまり使われません。
その他の滅菌法
メンブランフィルター、ザイツろ過装置などによるろ過滅菌法、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどによるガス滅菌法、放射線照射滅菌法などがあります。

 

無菌操作
  微生物を扱う実験はできるだけ無菌状態のもとで操作しなければなりません。いったん滅菌された器具類でも、正しい扱いをしなければ周囲からの微生物の混入は避けられません。清浄な実験室でも空中浮遊菌が存在します。滅菌および無菌操作の意義をよく理解して、正しい手法に従って実験する必要があります。
  日常的に微生物検査を行なっている実験室では無菌箱、無菌作業台(クリーンベンチ)、無菌室内で操作を行なってます。