事業計画

当社グループは2013年4月に「真の自立へ向けて」をテーマとする3ヵ年の中期経営計画「NC-SCRUM※1」をスタートさせ、基本戦略である「既存事業の収益力強化」、「事業領域の拡大」、「新規事業創出」に基づく諸施策を遂行してまいりました。主力製品の液晶材料では、需要の増加が見込まれる中国において生産拠点及び技術センターを立ち上げ、繊維製品では生産設備の拡大に努めるなど、アジア地域を中心としたグローバルな事業展開を進めるとともに、国内では継続して水力発電所の大規模改修工事を実施したほか、不織布生産設備の新設に着手するなど、企業価値の更なる向上を目指して成長戦略を推し進めてまいりました。

国内外における経済動向の不透明感が増すなか、前計画で掲げた基本戦略を完遂するとともに、なお一層の成長戦略の加速によって「最高益更新に向けた成長基盤の確立」を実現するために、新中期経営計画『中期経営計画NC-SCRUMⅡ 2016年度-2018年度』を策定いたしました。
本計画においては、骨太で強靭な収益体質構築に向けたコスト競争力の極大化と生産技術革新による中核事業の収益体質強化を図り、グローバルな事業展開と新規事業の創出による収益の多様化を進めることにより、事業環境変化に強い事業ポートフォリオへの変革の実現を目指してまいります。
今後もJNCグループは、「優れた技術で社会の進歩に貢献する先端化学企業」として、豊かな暮らしと産業に貢献し、地球環境と調和したものづくり・技術の創生を行うことで、企業価値の更なる向上を図ってまいります。

 

中期経営計画NC-SCRUMⅡの概要

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【2020年のあるべき姿】

事業環境変化に強い事業ポートフォリオの構築を目指し、加工品事業(繊維事業、肥料事業)および電力事業を液晶事業に続く柱へと拡大・強化して、収益の多様化と持続的に成長可能な収益体質を確立します。

【中長期的な経営目標】

中長期的に売上高経常利益率12%以上を目標とし、市場拡大が見込まれる高機能製品をグローバルな事業展開で需要を捉え、収益力の強化と成長基盤の確立を目指します。
また、企業価値向上を重視した効率的な事業運営のために、総資産経常利益率の目標値を設定して、高いリターンを生む事業(投資)へ経営資源を厳選して配分する方針です。

 

SCRUM※1とは、Sustainable Chemical company with Revolutionary Unique Materialsの頭文字

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I. 基本戦略

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技術力を基軸に次の4つの基本戦略を完遂することにより、事業環境変化に強い事業ポートフォリオへの変革を目指します。

中核事業の収益体質強化-収益性を重視した事業運営の推進

• 技術、開発、販売の総合力による事業優位性の確立
• 既存技術の用途開発⇒高付加価値品の拡充
• 設備の稼働率に応じたコストダウンの徹底と要員の最適化

グローバルな事業展開-成長基盤の確立と事業展開のスピードアップ

• 戦略的な設備投資継続による成長基盤の確立へ
• 海外事業を支える技術ロードマップの策定⇒顧客ニーズに対応できる技術力の強化
• 知的財産戦略の強化

損益向上に寄与する新規事業の創出-資源の最適配分とテーマの絞込み

• 開発室テーマの継続可否見極め⇒マーケティングを重視した競争優位性の検証と目標の再設定
• 既存事業領域の延長上にあるテーマへ重点配分

競争力の極大化と生産技術革新-低コスト生産と高品質の両立

• 革新的生産プロセスの創出による競争力の強化
• 安全、安定運転と更なる品質向上の追求

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II. 事業戦略

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機能材料事業(主要製品 液晶)

当社は、世界で高い評価を受けている技術力と特許を参入障壁として、顧客要求を満たす高機能な液晶材料と周辺材料を迅速に開発・上市するとともに、成長市場である中国で現地生産とテクニカルサービス活動による需要を取り込むことで、シェアアップと収益力の維持・強化を図ってまいります。

市場

• 4K液晶TVの普及や将来的な8K化により、高透過性に優れたN型材料の市場構成比率が拡大
• 液晶パネル市場は大型TV用途を中心に、パネル面積は引き続き成長する見込み

戦略・施策

• PSAを含むN型材料の開発と拡販によるシェア向上
• 顧客要求を迅速に満たし、顧客との強固な信頼関係を構築
 日本、韓国、中国、台湾各拠点の営業、テクニカルサービス、工場の体制整備と連携強化
• 周辺材料(光配向膜・オーバーコート)は新製品開発と拡販に注力
• コスト競争力強化による収益性の確保
 大型ブレンド技術の確立による生産性の改善と内製化率の拡大

繊維事業(主要製品 ES繊維・スルーエア不織布)

原綿からスルーエア不織布までの一貫生産による品質優位性を武器に、成長を続けるアジア衛生材料市場においてリーディングサプライヤーの地位を維持・拡大することで、更なる収益力強化を図ってまいります。

市場

日本:インバウンド需要の継続
• 中国における日本製おむつの需要継続
• 日本国内のおむつ加工ラインの増設

中国:おむつの高級化と一人っ子政策の廃止
• プレミアムおむつの市場拡大によるスルーエア不織布の採用増加

アセアン:おむつの市場拡大

戦略・施策

• 顧客ニーズに対応できる技術力の強化と高付加価値戦略による差別化
• 技術ロードマップに基づく既存設備の更なる生産性最大化と品質向上
• アジアの市場拡大にあわせた販売戦略とタイムリーな設備投資による成長機会の獲得
• 守山工場をスルーエア不織布のマザー工場として位置付け、技術の深耕と標準化を図る

肥料事業(主要製品 コーティング肥料)

当社は国内肥料業界、特に高付加価値製品であるコーティング肥料におけるトップポジショニングを活かして、農業のニーズを的確に把握した商品開発・施肥技術開発を継続し、日本一の肥料会社としての評価と地位を堅持することを目指します。また、グローバル企業として食糧需要が高まる海外への展開を加速して、収益力強化を図ってまいります。

市場

• 施肥の省力化と環境負荷軽減を背景にコーティング肥料の需要は増加
• 農業施策の見直し・農協改革・TPP発効等により、農産物の生産コスト低減の動き
• アジア市場においてはコーティング肥料の潜在需要は増大

戦略・施策

1. 高機能肥料の拡販

• コーティング肥料の拡販と収益性の維持
• オンリーワン商品「苗箱まかせ」の普及とJコートへの転換加速
• 高い商品開発力を生かしたソリューションビジネスの拡大

2. 海外ビジネスの基盤構築

• 台湾工場の確実な立ち上げ、高価格品市場の開拓と販売体制の構築

化学品事業

高品質の製品を提供する化学品事業は、新規高付加価値品の拡充や海外展開の拡大により、安定した収益体質の構築を図ります。

• アルコール・溶剤類

既存技術や設備を活用した新規誘導品開発による事業構造改革

• シリコン製品

サイラエース、サイラプレーンの独自製品、技術開発による高付加価値テーマの拡大とマーケティング強化によるシェア確保と収益向上

• ポリプロピレン

国内プラントのスクラップアンドビルドによる競争力強化
食品、医療シートフィルム向けなど機能性ポリプロの拡充と拡販
自動車向けポリプロコンパウンド事業の拡大

• ポリエチレン

得意分野(繊維・フィルム)グレードの拡販と新グレードの開発

電力事業

当社創業事業であり、13箇所にのぼる水力発電所を保有する電力事業を、既存設備の活用と再生可能エネルギー固定価格買取制度(通称FIT制度)の適合により、国内の再生可能エネルギー発電能力の維持拡大に貢献するとともに、超長期に亘って安定的な収益を生み出せる事業へと育成させます。
同時に新規水力発電所の開発にも積極的に取り組み、電力事業の更なる収益拡大を図ります。

市場

• 再生可能エネルギーの導入を政府が推進

1.導入促進策の一環であるFIT制度は電力価格の固定買取制度
2.認可時点の価格を20年固定化とする早期対応へのインセンティブ

戦略・施策

• JNCの基盤事業に育成し、企業価値向上を図る

1.既存水力発電所リニューアルによるFIT法適用工事を推進
2.大型工事による設備基盤の整備(送電線高鉄塔化、変電設備等の老朽化対策の計画的実行)
3.JNCパワー㈱の運営(電力需給管理システム構築)
4.電力事業の更なる拡大

新規事業(次世代分野)

今後成長が見込まれる電子情報材料(有機EL材料、プリンテッドエレクトロニクス材料)、精密加工(機能性コーティング剤、機能性コーティングフィルム)、ライフケミカル(セルファイン;液体クロマトグラフィー用充填剤、シート培地、検査診断薬)、エネルギー・環境(リチウムイオンバッテリー材料)の各分野と共に、既存事業周辺テーマへ経営資源を傾斜投入することで、新事業開発のスピードアップを図ります。

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III. コーポレート戦略

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設備投資と財務戦略

基本戦略の完遂を支える投資案件として、ES繊維・スルーエア不織布、液晶、コーティング肥料など、強みを持つ製品のグローバル展開とコスト競争力強化、及び電力事業に経営資源を集中投入する予定です。
金額ベースでは、今後3ヶ年で総額550億円(決裁ベース)、そのうち7割超を事業拡大投資にあてる計画ですが、収益の達成状況やアクションの進捗状況を確認しながら、重要度の高い投資案件を厳選して実施いたします。
なお、投資額は中計期間中の営業キャッシュフローの範囲内であり、今後も健全な財務体質を維持し、将来の戦略投資にも柔軟に対応してまいります。

研究開発・新規事業戦略

NC-SCRUMⅡの基本戦略である「損益向上に寄与する新規事業の創出」の実現のため、「研究開発資源の最適配分」、「知的財産権の強化」、「事業化推進」に注力し取り組んでまいります。

• 研究開発資源の最適配分

既存事業領域(市場)の延長線上に新しい技術を導入し事業創出を
図るテーマに重点配分を行います。また、現在手がけている開発
テーマについても、市場優位性を基準に検証し、テーマの見極めと
目標の再設定を行ってまいります。

• 知的財産権の強化

他社への参入障壁構築による競争力強化のため、事業戦略を支える
知財戦略を展開します。また、自社特許の正確な価値判断に基づく
新規事業テーマ提案の取り組みなど強固な知財ポートフォリオの
構築を目指します。

• 事業化推進

事業拡大への貢献を目指してマーケティングの強化に取り組み、
競争力のある事業提案につなげていきます。サプライチェーンを
考慮した利益を最大化する戦略の策定と重点分野の設定による
事業拡大の可能性検証などが主な施策です。

生産技術戦略

NC-SCRUMⅡで掲げる骨太で強靭な収益体質を構築するため、生産技術力・開発力の強化による低コスト生産と高品質の両立を目指してまいります。主な施策は次の通りです。

生産技術開発機能の強化

• 革新的生産プロセスの開発/製造コストの抜本的削減
• 加工品分野の量産化技術確立/生産性の向上

設備管理体制の強化

• 設備に起因するロス・リスクの低減/機会損失の撲滅

継続的な人材育成の実行

• 現場力強化による安全文化・生産技術の伝承

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